落語「芝浜」

専念寺 日記
こんばんは!副住職です。
 
先日、久々に桂三木助師匠の落語「芝浜」を聴きました。
桂三木助と言えば芝浜、芝浜と言えば桂三木助と言われるほど芝浜を得意演目とされていた昭和の名人です。
冬を舞台にした演目がたくさんある中で、その代表格といえるのが芝浜です。

腕はいいが酒呑みで、まったく商いに精が出ない魚屋の旦那と、そんなどうしようもない旦那を支える奥さんのお噺です。

私が芝浜を知ったきっかけは、先代の三遊亭圓楽師匠でした。圓楽師匠の「よそう、夢になるといけねえ」というサゲのキレの良さに惚れ惚れしたのを覚えています。
それからこの芝浜という演目が好きになり、他の噺家さんの芝浜も聴くようなりました。古今亭志ん生、古今亭志ん朝、立川談志etc...。どれも最高の芝浜なのですが、その中でも、やっぱり三木助師匠の芝浜が個人的には大好きです。

冒頭、奥さんに尻を叩かれ、渋々商いに出かけた旦那が寒い芝の浜で顔を洗う描写。この描写を聴くと、毎回、ひんやりとした空気が漂う芝の浜が目に浮かんでくるんです。
あとは旦那と、旦那を支える奥さんとの掛け合いを、三木助師匠は淡々と描写しています。この淡々がいいんですよ。
他の噺家さんはこの夫婦の掛け合いをじっくりと、それは感情を込めて描写します。時には感極まり涙がポロっと出てしまう噺家さんもいます。それはそれで好きなんですが、三木助師匠の淡々とは人物描写や心理描写をそれほど掘り下げず、聴き手に委ねているのではないのかと、生意気な事を言いますが、そう思ってしまう。いやね、そこがほんといいんです。
それにしても、今日は暖かい。
芝浜を聴く気温じゃねありませんね。
みなさまご自愛くださいませ。